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更新2023/11/18

定電流ダイオード(CRD)

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本章では、使用方法を織り交ぜながら基本を簡単に説明します。

定電流ダイオードが使われる理由

定電流ダイオード CRD(Current Regulative Diode)は、最近LED関連で良く目にする素子です。
LEDの基本:定電流ダイオードを使うでも書きましたが、ん十年前の昔はさほど使われていませんでした。
しかし、数十mAの超高輝度LEDが出現してからは、簡単に超高輝度LEDの電流を安定させることができるということから注目を集めています。
なぜCRDを使うかというと、数十mAレベルの電流安定化手法の中では一番簡単だからですね。
複雑な電子回路で定電流回路を作るより、たった1本のCRDで定電流化できてしまいます。
このお手軽さがCRDを使う最大の理由です。

CRDの形・極性・回路記号

これを知らないと、LEDにつなぐこともできません。
とはいうものの、CRDといってもダイオードの一種ですので形と極性は同じです。
正確な形と寸法が知りたい方は、メーカー(SEMITEC株式会社など)のHPをご覧ください。
定電流ダイオードCRDの回路記号
回路記号は、通常のダイオードの記号とは少々異なり、上記のような表記となります。
Aがアノード、Kがカソードです。
ダイオードなので、アノードに+、カソードにマイナス、つまりアノードからカソードに向けて電流を流すようにする必要があります。
こうしないと、電流を一定にする効果が発生しません。

CRDの電圧-電流特性

CRDの電気的特性です。
少々専門的になりますが、自分で接続しようとする方は必須の知識ですので我慢して理解してください。
定電流ダイオードCRDの電圧電流特性グラフ
きれいな形のグラフではありません。
良く見ると、ある電圧範囲の電流がほとんど変化していないことがわかります。
つまり、この部分が定電流となっている部分です。
CRDはこの平坦になっている電圧範囲内で使用すると、流れる電流がほぼ一定になるという特性があります。
この特性カーブのそれぞれには名前があって以下のように呼ばれています。

(a点 : ピンチオフ電流)

要は定電流になる値のことです。
e電圧以下ならば電流の上限値を制限してくれます。

定電流ということで勘違いする方が多いのですが、CRDで言われている定電流は上限を制限するという意味です。
CRDには、下限値を制限する機能はありません。
例えば、元々どうがんばっても10mAしか流れない回路に、20mAのCRDを入れても、電流が20mAに引きあがるわけではありません。
必ず10mAより小さい電流になります。
つまり、元々20mA以上流れている回路に、CRDを入れて20mAに制限するという使い方です。

(b点 : 試験電圧)
ピンチオフ電流を測定するためのメーカーが決めた電圧値です。

(c点 : 肩特性電流値)
CRDはどんな電圧でも定電流ではありません。
良く見ると、電圧が低くなると電流もどんどん小さくなっていきます。
この特性が肩の形に似ているので肩特性と呼ばれている?ようです。
この肩特性を表わす方法は、ピンチオフ電流を基準にします。
つまりピンチオフ電流からたとえば20%電流値が低くなった点の電圧と電流で表すわけです。

(d点 : 肩特性電圧値)
c点を表現するための電圧値です。
少なくともこの電圧以上(できれば、もっと上)がCRDに印加されないと定電流どころか、電流が大きく変化してしまうことになります。
電源電圧が変化しても一定の輝度にしたいのに、逆にチラチラするなんてことも起きてしまいます。

(e点 : 最高使用電圧)
この電圧までなら、CRDは使えますという電圧です。
要は、この電圧を一瞬でも超えたら壊れますという目安です。
この電圧ぎりぎりで使うのは危険なので、通常は変動幅を考えながら実際に使用する電圧を決めます。
または、使用する環境からCRDに要求される最高使用電圧を決めます。
例えば、車のバッテリーに接続して使用する場合、最高使用電圧は、単独ならば最低でも100V、コンデンサやサージ吸収素子を併用しても30V以上のものを選定したほうが安全です。

車のバッテリー電源はノイズやサージが非常に多い電源で、電圧が常に細かく上下に変動しています。
また、古い車などでバッテリー端子が振動なので一瞬緩んだ時などに一時的に百V近く発生することもあります。
車のバッテリー電圧は12Vや24Vで、家庭用のAC100Vより低いので気楽に思えますが、実は安定した12Vや24Vではない細かい上下動の激しい電源ということを覚えておきましょう。
許容電圧の低い電子部品を、車のバッテリーにそのまま接続すると、ある日突然壊れたということもよくあります。

CRDの定格電力

CRDも電子部品ですから、使用できる許容電力が決まっています。
つまり、抵抗と同じくCRDが熱くなるので、定格電力以下で使用しなければなりません。
CRDで消費する電力は、以下の式で求めることができます。
 CRDで消費する電力=CRDのピンチオフ電流×CRDに印加されている電圧
例えば、ピンチオフ電流20mAのCRDで定格電力が300mW 使用する時にCRDに印加される電圧が10Vだとすると
 CRDの消費電力=20mA×10V=200mW
この場合は、定格電力300mWより小さいのでさほど問題ありませんが、できればCRDの消費電力は定格電力の1/2や1/3が理想です。
尚、この定格電力は周囲温度によって変化します。
おおまかには、周囲温度が80度~100度だと定格電力は半分程度に減ってしまいます。
温度が高くなる可能性のある環境で使用する場合は、かなり余裕を持たないとCRDが壊れる可能性がありますので要注意です。

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電子回路とファームウェア専門の元エンジニアが、初心者の頃の疑問や勉強・経験で知った「そうだったのか」を2009年から書いています。

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