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更新2022/06/08
超音波の反射波を使った方法は、物体の検出と同時に距離を測定することもできるというメリットがあります。
原理はいたって簡単で、超音波は音ですから、速度は音速(約340m/s)です。
超音波を発射してから反射して受信器が検出するまでの時間を測って、それに音速を掛ければ往復の距離が算出できます。
その距離を半分にすれば、おおよその距離が算出できます。
案外簡単です。
さて、超音波で距離を測定する場合には、いくつかの現象と注意点があります。
1つ目は、測定できる距離は超音波の発射強度と物体の表面状態(金属やタオルでは全然違う)で大きく異なるということです。
金属(アルミホイルなども)など表面の硬い物体からは強い反射波が帰ってきやすいので簡単に検出できますが、タオルなど音を吸収しやすいものだと金属ほど強く反射波を検出できません。
次に2つ目の注意点は、オシロスコープで観測すると良くわかるのですが、室内で超音波を発すると部屋中に反射して帰ってきます。
そのため、いろいろな方向から帰ってくる超音波が時間差で受信センサーに到達することになります。
すると超音波の重ね合わせがおき、強度が時間によって変化するという現象が起きます。
また、外であっても反射する物体が多数あると、やはり同じような現象がおきます。
目的以外のものの反射があるということを理解していないと、マイコンの検出アルゴリズムを考える時などに混乱するので注意が必要です。
最後の3つ目は、送受信器が近い場合に起きやすい現象です。
超音波で距離を測定する場合、一番近い物体は何でしょうか?
実は、現実的には受信器からみると送信器が一番近くにいることが多くあります。
ですから、反射した超音波が一番先に受信器に到達するのではなく、送信機からの超音波が直に到達するほうが早いのです。
これは、かなり困った問題です。
常時送信しているような場合は、最悪の場合超音波の反射波が、送信機から直接届く超音波に隠れてしまい検出できなくなります。
この場合の問題の解決法は、大きく分けて2つ考えられます。
1つは、超音波の発信と受信の指向性を高めるか、その間を吸音材で仕切る等で直接届かないようにする。
そして、もう1つは、超音波の発射をパルス波にし、最初受信した信号は無視するという手法です。
この手法は、検出する物体までの距離が比較的ある場合に使えます。
超音波を用いた検出は、ほとんどのものを幅広く検出できる手法なので以下のような応用例があります。
・道路や廊下での人や動物の通過検出
・自動ドアの人体検知
・自動販売機やPRビデオ機の近接検知
・通過物体の仕訳け
・光・磁気・電気で検出できない物体(透明なビニール等)の検出
・ロボットの近接センサー
・パラメトリックスピーカー
・超音波タグ
・媒体検出
・液面検出