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更新2023/01/06
電子工作に興味を持つ動機は様々で、その知識や技能レベルも様々です。
しかし、電子回路を組み立てるとなると、必ず通らなければならない工程があります。
それは半田付けです。
今回は電子工作レベルで使えるコツ(らしいもの)を説明します。
半田付けは、安定した品質にするために企業も色々苦労している分野の一つで、初心者が一朝一夕で満足な技術や技能を身に付けられるものではありません。
その中でも、手付けと呼ばれる半田付けは、体に覚えこませるという言葉がぴったりな、満足できるレベルになるまでに毎日長期間の練習が必要な職人的な技能の一つです。
とはいうものの、技能であるからにはコツがあるのも事実で、そのコツをある程度つかんでいれば、そんなに怖いものではありません。
半田というものは、スズや鉛(最近は鉛フリーで使わないことが多い)の金属でできており、それを熱で溶かし基板上の銅パターンと電子部品の端子を接着します。
半田は金属ですから、熱が加われば空気中の酸素と結合して酸化物(絶縁物)を作ります。
酸化物が混じる度合いが多くなると、どんどん半田の強度が落ち、耐環境性が低くなります。
そして、半田付け時の高熱が電子部品に伝わることで、電子部品本体にも悪影響を及ぼしはじめます。
じつは、半田付けは悪影響ばかりなのです。
電子部品の半田付けで最も大事なポイントは、短時間で半田付けをしっかり終えるということです。
つまり、悪影響をなるべく小さくするために、できる限り短時間かつ最低限の半田量で、半田付けを終わらせなければなりません。
しかし、この短時間での最適な半田量等は、手半田付けという手技ではコントロールしにくいため、手半田付けが難しい技能の一つと言われる所以です。
ただ、練習さえすれば、それなりに覚えることができる技能なので、数時間も真剣に練習すれば電子工作レベルであれば十分な技能は身に付きます。
電子工作キットを組み立てる初心者の失敗の原因の多くは半田付けです。
手半田付けができれば、電子工作の失敗も大幅に減ることでしょう。
全てDIYセンターで売っている安いものでOKです。
電子部品などの通販サイトでも売っています。
プロが使うような高級品は不要です。
・半田コテ(15~30Wのもので、可能ならば温度設定機能付きがお勧め。半田コテ先が1~2mmぐらいまで細くなっているもの)
・半田(鉛入りまたは鉛フリー、ヤニ入りで線径0.8mm程度。できれば0.3mm等の細いものもそろえましょう)
・半田コテ台(半田こてを置く台です。金属製であれば可能)
・フラックス(基板パターン上の酸化物を除去する液体です。銘柄なんでも可)
・ピンセット(先が1~2mm程度の細いもの)
・ニッパー(先が細く小さいもの)
・半田吸い取り線(1mm~2mm幅のもの)
半田には、溶融温度の低い鉛入りと、溶融温度の高い鉛フリーの2種類があります。
鉛入りは、鉛が体に悪いということで、現在は鉛抜き(鉛フリー)が主流です。
しかし、この鉛フリー半田は、半田コテの温度が十分高くないときれいな半田付けができません。
鉛フリー半田を使う場合は、火災に十分気を付けながら、半田コテの温度は高めで半田付けしましょう。
準備ができたら、まずは適当な基板や電子部品の端子などで半田付けの練習をしましょう。
たぶん、最初はきれいな半田付けにならないと思います。
酸化物の多い黒い色の半田や、ツノが立っている半田、山盛りになったりと、同じ形で同じ量のものは1つもないのではないでしょうか。
悪い見本を知ることにもなるので、その状態を覚えてください。
以下順番で半田付けをしましょう。
1.左手に半田、右手に半田こてを用意
2.部品を半田付けするところに差し込み(置く)、フラックスを綿棒などで塗る
3.部品がぐらぐらするようならば、もう一人連れてくる・・・・か、マスキングテープと呼ばれる粘着性の低いすぐはがれるテープで固定する
4.半田こての先が黒くなっていたら水を含ませたティッシュでササッとそれをふき取り銀色の表面をだす。
5.半田を半田付けする部分に接触させる
6.半田こてを接触している部分の半田に近付け、半田を溶かす。
7.半田が溶けるときに、端子と基板パターンの2か所同時に溶けた半田が流れるように、半田こてを保持
8.半田が端子とパターン両方になじんだ(と思えたら)、さっと半田こてを引く。
9.上手くできれば半田部分が「つるつるピカピカの富士山形」になります。半田の量が極端に少ない、半田部分に穴がある、半田の量が多すぎ部品本体に接触するぐらいの山盛り、隣のパターンに接触、半田が黒ずむ、表面に亀裂がある は失敗です。
4から8までは長くて数秒です。
根気よく練習すれば、きっと手半田付けができるようになります。
手半田付けができるようになれば、電子工作製作の半分は終わったも同然です。