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更新2023/12/04
本章では、オペアンプの代表的回路構成の一つ、コンパレーターについて説明します。
コンパレーターは、入力電圧が、ある電圧(閾値)以上か以下かを判別するための回路です。
オペアンプ自体が、コンパレーターとなります。
コンパレーターの原理回路を以下に示します。
判定したい電圧(閾値)を-端子に、+端子に判定したい電圧を与えます。
判定出力を逆にしたい場合は、+端子に閾値、-端子に判定電圧を与えます。
上記例では、三角波を入力します。
閾値以下では、出力はゼロ(2電源の場合はマイナス振り切り)ですが、閾値を超えると出力はプラス側に振り切ります。
アナログ信号を、デジタル信号化する場合など多岐にわたって使われます。
コンパレーターは、オペアンプで簡単に精度の良い電圧判定ができるので、大変便利な回路です。
しかし、入力電圧が閾値電圧に非常に近くなると判定に問題が発生します。
それは、信号に混じるノイズです。
オペアンプの増幅率は非常に大きいため、数mVのノイズが信号に混在すると、閾値近辺では出力がプラスマイナスに行ったり来たりします。
これは、誤判定になるのでコンパレーターとして電圧判定したい時には非常に困ります。
そこで、ノイズ交じりの信号や、変化が遅い信号には、一般的にヒステリシス回路をコンパレータに付加します。
ヒステリシス回路は、非反転増幅器のような負帰還ではなく、出力を+端子に正帰還する回路です。
R2を通して+端子に対し微小正帰還を行うことでヒステリシスを発生させます。
例えば、以下条件で計算すると。
Vs=5(V)
オペアンプのプラス側振り切り電圧VoH=10(V)
オペアンプのマイナス側振り切り電圧VoL=0(V)
R1/R2=0.1
ヒステリシスの各閾値は、以下の通りとなります。
Vup = 5.5(V)
Vdn = 4.5(V)
つまり、ヒステリシス幅は、5.5-4.5=1(V)で、信号に混じる±1(V)までのノイズを無視できます。
尚、ヒステリシス幅を大きくとると、ノイズ耐性は高くなりますが、その分判定位置が上下にずれてしまいます。
ヒステリシス回路付きコンパレーターの判定は、本来の判定してほしい閾電圧値とは多少異なるので、ノイズ以上に幅を大きくしないよう注意が必要です。