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更新2022/06/26

LEDが熱い・燃える・煙が出る

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LEDが熱い燃える
車のインテリアやエクステリアでLEDをコーディネートする方も多くなってきました。
そして、LEDや電線が燃えた、配線を入れていたダッシュボードから煙がでた、LEDが壊れたなどのトラブルも多く起きているようです。
自分でLEDや制御パーツを買ってきて配線・電源投入したところ
 触れないほど熱い!
 煙がでた!
 燃えた!
 一瞬ピカ!と光って消えた!

いずれも、LEDを扱ったことのある方ならば、ほとんどの方が経験したと思います。
なんともがっかりな現象です。
このがっかりな現象の原因は、大きく分けて放熱の問題と回路パラメーターの2つに分かれます。
本章では、熱い・燃える・煙が出る原因について簡単に説明します。

放熱不良

放熱の問題は、LEDや制限抵抗または定電流ダイオードが発する熱をうまく発散できていないことが原因です。
例えば、密閉空間にそれらを押し込めてしまっているか、ヒートシンクなどの放熱用部品などを使っていないことがあげられます。
抵抗などをテープでぐるぐる巻きにしている場合で、抵抗が数W消費するような場合は、蓄熱の結果、煙を出して燃えてしまうこともあります。
電子部品ですから発熱は必ず起こるものですが、熱は勝手に無に帰るわけではありません。
何も対策しないと、どんどん蓄熱してしまい、部品の温度が高くなっていきます。
必ず放熱を考えて配置しましょう。

回路的な問題

回路に問題がある場合の原因は、ただ一つです。
LEDに流れている電流が、LEDの定格電流値を大きく超えていることが原因です。
例えば、30mAが最大定格電流のLEDに、数倍以上の200mAの電流を流れている場合などです。
最大定格電流の数倍以上もの電流が流れてしまえば、LEDが劣化したり焼け付いてしまうのも当然ですね。
電流が流れすぎる原因はいくつか考えられますが、主なものは以下となります。

原因1:制限抵抗が小さすぎる

以下はLEDの基本回路です。

LEDの基本回路
LEDを使用する場合は必ずこの形になるように配線します。

この回路の「制限抵抗値」は以下の式をもとに算出します。
 制限抵抗値=(電源電圧-LEDの順方向電圧×N)÷LEDに流したい電流
例として、バッテリー電圧12V、LEDは青色タイプで順方向電圧は4V、直列につなぐLEDの個数Nは2ケと想定しましょう。
そして、LEDに流したい電流値は、LED最大定格電流値30mA(=0.03A)の半分の15mAとしておきます。
 制限抵抗値=(12-4×2)÷0.015 ≒ 266Ω
つまり、この回路の場合は、266Ωの抵抗を入れることでLEDは定格内で快適に使用できることになります。

このときのLEDで消費する電力を求めると。
 LED N個の全消費電力値 = LEDの順方向電圧 × N × LEDに流れる電流=4×2×0.015=0.12W(ワット)
LED一個当たりに換算すると 0.12÷2=0.06W/ケ ときわめて低い消費電力です。
この状態であれば熱くもならず快適に使用できます。

次に、LEDをより明るくしたいなどの場合を想定し、抵抗値を266Ωより小さくします。
途中の計算は省きますが、結果は以下のようになります。
LEDの抵抗値別電力値表
青・黄文字が常温で使用できる値で、赤字はLEDが熱く触れないほどになります。
つまり赤字は制限抵抗値が低すぎるという状態です。
この赤字の状態になると、LEDは本来の色を発色せずフィラメントランプのように発熱により赤色を発し始めます。
もうすぐ焼き切れるというサインです。

原因2:定電流ダイオードのピンチオフ電流値が大きすぎる

定電流ダイオード(CRD)であっても原因1と根本的には同じで、定電流ダイオードのピンチオフ電流値(定電流値)がLEDの最大定格電流値以上であることが原因です。

原因3:電源電圧が高すぎる

電源電圧が想定より大きいと、当然ながらLED電流が想定より大きくなるため、制限抵抗値が小さすぎる状態と同じ過電流で発熱します。
例えば、9Vで十分光るように設定されているLEDや制限抵抗の回路モジュールに、もっと明るくしたいとの理由で12Vの電圧を印加してみましょう。

この場合のモジュールは、一例として以下のように仮定します。
 LEDの順方向電圧は4V
 LEDは2ケ直列
 LEDの最大定格電流は30mA
 制限抵抗値は50Ω

上記仮定条件では、9Vの電源電圧の場合LEDに流れる電流は0.02A(=20mA)です。

さて、このLEDモジュールに9Vではなく12Vを印加すると、流れる電流はいくらになるでしょうか。
 LEDに流れる電流=(12-4×2)÷50=0.08A
電源電圧は12V/9V=1.33倍にですが、電流は0.08A/0.02A=4倍になってしまいました。
電源電圧の上昇分以上に電流が多くなっています。

もし、12Vの電源が車のバッテリーだとすると(バッテリ電圧は10V~16Vまで簡単に変動するので)16Vの電源電圧下で流れる最大電流はなんと8倍の0.16Aとなります。
LED1ケで消費する電力は0.64Wとなります。
この状態になると電流はLEDの最大定格電流の5倍以上となるので、LEDは劣化・壊れる可能性が大となるでしょう。
LEDを組み込んだ回路の場合、流れる電流は電源電圧に比例しないということをよく覚えておきましょう。

LEDが熱くなるのは過電流が原因でしたが、制限抵抗器や定電流ダイオード(CRD)にも同じことが言えます。
抵抗器やCRDの定格を大幅に超える電力が印加されているか、放熱が十分でないことが原因です。
抵抗や定電流ダイオードが熱くなる場合は、電流値を下げるようにするか、消費する電力に対応できる大型の抵抗や定電流ダイオードを使用しましょう。

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電子回路とファームウェア専門の元エンジニアが、初心者の頃の疑問や勉強・経験で知った「そうだったのか」を2009年から書いています。

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