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更新2024/09/03

LEDの制限抵抗

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LEDは無制限に電流が流れるもの

LEDの電流・電圧特性は簡略化すると下記グラフのような形になります。
LEDの電圧電流特性グラフ
LEDというのはピカッと光る素子ですが、ダイオードの一種なので電圧-電流特性が1次関数的ではありません。
指数関数的に変化します。

端的にいうと、順方向電圧を超えた瞬間、内部抵抗が大きく下がり電流が際限なく流れます。
例えば、順方向電圧が3.5Vの場合、12Vを直接そのままLEDに掛けてしまうと、3.5Vを超えているため一挙に大電流が流れてしまいます。
そして、LEDの踏ん張れる定格電流値以上の電流となりほぼ瞬間的に(煙が出て!?)壊れます。
まさに、あっという間です。
LEDは電流を何らかの方法で制限しないとすぐに壊れてしまう電子部品なのです。

抵抗で電流を制限する

そこで、過電流で壊れないよう一般的によく使われるのは、抵抗器とLEDを直列に接続する方法です。
LEDの制限抵抗器
他には、抵抗より高値ですが定電流ダイオード(CRD)や定電流回路を使うというやり方もあります。(参考:定電流ダイオードを使う

制限抵抗のパラメータを求める

使用する抵抗器の抵抗値や必要な電力は計算で簡単に求めることができます。
以下は基本式です。
・必要な抵抗器の抵抗値R=(電池の電圧-LEDの順方向電圧)/流したい電流値
・その時消費する抵抗器の電力P=(電池の電圧-LEDの順方向電圧)X流したい電流値

通常、抵抗器は算出したRに出来る限り近い値のものを選定し、定格電力値は算出したP値の倍以上の定格の抵抗を選定します。
高信頼性を要求する機器などは、算出したPの値の3倍や4倍のものを選定します。
たとえば車用機器に使用する場合は3倍以上が常識です。
この倍数は安全係数または安全率という言い方で300%などと表すこともあります
電力Pの安全係数は、電子工作などで信頼性をあまり考えないのであれば1倍でも良いのですが、部品がいつも全力疾走状態になるため信頼性はほとんどありません。
人間も常に全力疾走状態だと、数百mも走れば倒れてしまいます。
電子部品も同じです。

算出例

計算の実例として、最近のLEDを使い、以下のように想定します。
・乾電池9V、LEDは白色系で順方向電圧3.4V、流す電流は20mA
・必要な抵抗値R=(9-3.4)/0.02=280Ω
・抵抗器で消費する電力P=(9-3.4)X0.02=0.11W

必要な抵抗器の抵抗値は280Ω、必要な定格電力は0.11Wとなります。
実際の選定では、抵抗値や電力定格はとびとびの値で決まっているので、一番近い値になるものを探します。

一番近い抵抗値を見つけたら、今度はその値で電流や消費電力を逆算し大丈夫かどうかを判断します。
この場合、探してみると一般的な公称抵抗値E-24系列(参照:抵抗器)だと270Ωがもっとも近い値となりますので、この値を選定すればいいでしょう。
そして、抵抗の定格電力は、電子工作レベルであれば安全係数を2としてPの倍以上の0.25Wを選びます。

LED別 抵抗値例

以下に、制限抵抗値の一例を記載しますので参考にどうぞ。
(想定回路)
算定のためのLED想定回路
例:日亜化学工業株式会社 NSSW064T を使う場合
LEDの制限抵抗表1
例:スタンレー電気株式会社 FR3863X を使う場合
LEDの制限抵抗表2

抵抗の定格電力値は、緑セル0.25W、ピンクセル0.5W、赤セル1W 推奨です。
表示されている値は、表左上にあるLEDのVfと設定電流で計算し、E24系列(参考:電子部品の基本)の抵抗を選定しています。
現実に販売されている抵抗値には、E24系列のようにとびとびの値しか存在しないことや、Vfが温度や個体差でばらつくため、実際の電流は計算値に対して±1割程度の誤差がでる可能性があります。

そのほか、温度変化などにより抵抗器自体の抵抗値も変化するので、熱的に余裕のない選定はできるだけ行わないようにします。
たとえば、収縮チューブなどで被覆するときは放熱できないため、チューブ内の温度が思った以上に上がります。
最悪、抵抗が焼損することもあるので制限抵抗器を被覆する場合は、(感電に気を付けながら)端子を手で触るなど熱くなっていないか確認しましょう。

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中の人

電子回路とファームウェア専門の元エンジニアが、初心者の頃の疑問や勉強・経験で知った「そうだったのか」を2009年から書いています。

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