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更新2023/01/10

LEDの並列接続

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LEDを並列接続して「あれ?」ということありませんか?
 「同じ明るさになると思ったのにLEDを並列接続すると明るさがバラバラになってしまった・・・。」
 「電流容量を増やそうと思ったのに、ダイオードを2ヶ並列にしても倍にはならなかった・・・。」

LEDを並列にしてみたけど・・・

LEDの問題のある点灯回路
(LED Vf=3.4V/20mA)
上記は、電子工作の大好きなAさんが作ったLEDの点灯回路です。
Aさんによると。
「最初は、LED1だけで光らせていたのですが、もう1つLEDを増やしたくなりました。」
「同じ種類のLEDがあったのでLED2をLED1と並列に配線し、LEDが2ヶになったので制限抵抗器を2ケ分の電流が流せるようになるよう再計算して値を変更しました。」
Aさんの考え方は単純明快で、一見うまくいきそうに思えますが、はたしてこの場合LED1とLED2は同じ明るさで光るでしょうか?

なんとなく同じ明るさになりそうですが、実はほとんどの場合LED1とLED2は同じ明るさでは光ることはありません。
最悪の場合、明るく光る方のLEDが明るくなりすぎて燃える可能性もあります。
なぜでしょうか?
一見して同じ種類のLEDなので、電流も1/2に分流されてLEDは同じ明るさで光りそうですが、実はこの場合電流は均等には流れません。

理想と現実のLEDの違い

現実のLEDでは、必ずといっていいほどLED1とLED2に流れる電流に偏りが発生します。
そのような偏りは、LEDの電圧-電流特性のばらつきに原因があるため発生します。
個々のLEDは製造時の特性のばらつきや、配置されている場所の違いによる放熱の違い・周囲温度などの微妙な違いにより個々のLEDの電圧-電流特性はわずかですが変化します。
LEDの特性ばらつき

このグラフはLED1とLED2の特性をわかりやすくデフォルメして描きだしたものです。
グラフを見るとLED1はLED2より若干速く立ち上がっています。
今回の回路はLEDを並列に接続していますのでLED1とLED2は同じ電圧が印加されることになります。

例えばVfという電圧がLED1とLED2の両方に印加されていると考えてみます。
グラフの点線をたどってLED1とLED2の各LEDの電流をみると・・・・。
当たり前ですが同じ電流にはなりません。
I2がI1より随分と小さい値となっています。
I1とI2を比べると、I1はI2の数倍以上の電流です。
LEDの明るさは電流の大小に相関していますので、LED1とLED2の明るさは異なるものになってしまうことがわかります。

説明のために、2つのLEDの特性を大きく離しましたが、実際のLEDでもこれほど大きくはないにしろ特性の違いがあります。
違いの原因は、既に書いたように製造のばらつきや、LEDの個々の位置の違いによる温度の違いなど様々です。
そして、これらの要因は、基本的に使用する側で制御することが困難なものがほとんどです。
つまり、LED同士を並列接続して使用することは、完ぺきに特性が揃っていない限り(現実にはありえません)必ず輝度のばらつきが発生します。

では、どうすればいいのでしょうか?
簡単です。
ばらつきの影響を小さくするために、LED1ヶに対し抵抗やCRDを1ヶずつ使うようにしましょう。
LEDの並列使用
または、全てのLEDに同じ電流が流れる直列接続に回路を変更します。
LEDの直列回路

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中の人

電子回路とファームウェア専門の元エンジニアが、初心者の頃の疑問や勉強・経験で知った「そうだったのか」を2009年から書いています。

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